13人目:ひとり旅仲間K ①出会い
グエル別邸、グエル邸のふたつに行ってみたもののどちらも閉まっていた。
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やけ食い(パエリア・タパス・ジェラート・クロワッサン)
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からの。
はて、何をしようか。
ガウディ建築の中でも人気の高い、カサ・バトリョへ行ってみるも行列。
並びたくない…明日来よう。
ということで近くの、カサ・ミラへ。
オーディオガイド解説を聞きながらじっくり見ることができ、大満足でした。
日中はひとりで観光、十分楽しいけれど夜は誰かと話したいな。
さて、今夜のお相手は、
まだ決めかねていた。そんな中、
K「今夜、ディナー行かない?」
というメッセージに目がとまった。
プロフィールを見ると居住地はベルリン。現在地はバルセロナ。
どうやら私と同じ、旅人っぽい。ドイツ人かな?
なつこ「いいね!」
K「寿司行こうよ!」
なつこ「いいよ、寿司でもスペイン料理でも。」
Kと21時に会うことに。
スペインでは夕食の時間が遅い。だいたい20時~23時くらいが夕食の時間だ。
アルゼンチンへ行った時もそうだったな。
ラテンアメリカの国は、スペイン文化の影響を受けているから当然だ。
バルセロナの観光地は20時くらいまで空いているから、ちょうどいい。
じっくりカサ・ミラを楽しんでから行ける。
結局、寿司ではなかったが、Kがお店を指定してくれたので地下鉄で向かう。
レストランではない、バーだ。
Mr.Robinson
というバーで会う予定だったが、いっぱいで入れなかったらしい。仕方ないので、その近くの
Paradiso
という別のバーで会うことに。
地下鉄乗り間違えて、30分ほど遅刻してしまった。私としたことが…。
店に着くと入り口には行列の客が。Kに電話して、店の外に出てきてもらう。
背が高い、大きめの黒縁メガネをかけた男性が出てきた。
はっきりした眉。ひげはきちんと剃っている。
ひげがない男性久しぶりに見た、珍しい。おしゃれで清潔感がある感じ。
彼がKだ。
なつこ「30分も遅れて、ごめん!本当にごめん。第一印象わるいよね。」
K「大丈夫、先に店内に入って席確保しておいたよ。」
(入口の用心棒の男性に対して、)
K「彼女はぼくの連れ。入ってもいいですよね?」
用心棒「少し待って、スタッフに確認する。」
しばらく待ってから、店に入ることができた。
すごくオシャレな雰囲気のバー。都会的でもあって、リゾートっぽくもある。
そうか、バルセロナってヨーロッパに住んでいる人にとって
日差しを求めてくるリゾート的な面があるよね。ビーチもあるし。
ぶどうの形をしたグラスや、アイスクリームコーンの形をしたグラスにカクテルが注がれてくる。
写真撮っておけば良かった!いや、その時は携帯取り出してパシャリとするのが、なんだか恥ずかしかったのよ。素敵なバーに連れてこられて、緊張してたから。Kは慣れた様子だったし。
ひとりだったら来ないようなところだな。周りも男女で来ている人ばかり。
奥の席で飲みながら、話す。今回私は、誰かと話したくて彼のことをよく知らないまま会うことにした。なんと無防備な。
あたたかいバルセロナに着いて開放的な気分になって、飲みたい気分だった。
K(31)
イラン出身、
ドイツのベルリンで働く整形外科医。
休暇で10日間バルセロナに太陽の日差しを求めて来ている。
ん・・・ ?
イラン人?
整形外科医?
どっかで聞いたことあるな。
そうだ、今までの旅で出会った
2人目:ローマで出会ったイラン人(35)
を思い出して、驚く…!ピンポイントでかぶせてきたな。私、何かしらイラン人と整形外科医にご縁があるみたい。
私がびっくりして、しばらく固まっていたので、英語で説明した彼の仕事が理解できなかったのかとKは誤解し、
K「整形外科医って、ひざの手術とかする外科医だよ。手術の写真見せようか?」
なつこ「いえ、結構です。血とか骨とかぐろいの見るの無理!整形外科の扱う範囲は、何となく理解しているから大丈夫。」
K「写真見せるって言ったのは冗談だよ。(笑)」
冗談言ったり、陽気な奴だ。でも、丁寧で紳士的な印象。
アプリでメッセージやりとりして、3時間後にすぐ会おうなんてどんな軽い男が来るのかと思ったら、そうでもなかった。のだろうか?
逆に、すぐ会える女、かるい女と思われてたら都合が悪いな。警戒して、私はこわばっていた。
この旅のなかで、マッチングアプリで旅人に会うのは初めてだった。ドイツで働いているってことは、所得高そう。同じ旅人といえど、旅のスタイルも私とは違って毎晩のようにいいお店行ってるのかな。滞在しているホテルを聞いたが、私の宿泊先より安いところだった。
なつこ「このバー、以前に来たことあるの?」
K「いや、初めてだよ。友人にすすめられて。来たいと思ってたんだ。今日入れなかった方の、Mr.Robinson は以前に友人と行ったことがあって。でも実際来てみるとこっちのPradisoの方がイイね。よかった。ほら。おれ、バルセロナで行きたい店リスト作ってるんだ。」
スマホのメモ欄を見せてくれた。レストランやバー、ホテルのリストがずらっと並んでいる。
なつこ「それ、私にもシェアして!すごいね。」
K「いいよ。あとで送るね。ここ地下で電波弱いんだ。おれ、将来バルセロナに移住しようと思ってるんだよね。」
なつこ「移住っていつ?」
K「二年後。研修医期間終わったら、弟と両親と家族みんなでバルセロナへ移住しようと計画してる。」
なつこ「へえ、家族みんなでなのね!本格的な計画を持ってるのね。」
K「ベルリンは暗いし、寒い。ドイツは働くうえで給料はいいけどね。今回10日間バルセロナに来たのは、将来住むことも見据えてお気に入りの店とか開拓する目的も兼ねてる。」
なるほど。
我々はひとり旅仲間だ。旅先にバルセロナを選んだ理由が私と同じ「太陽の日差しを求めて」だ。日本の二月は寒い、天気も良くない。ベルリンも似たようなものらしい。
一杯飲んで、店を変えようかとしたがバーカウンターが素敵だったので、席を移動して
もう一杯飲む。
Kは、カクテルを自分で作るのも好きらしく、バーテンダーとカクテルの作り方について楽しそうに話していた。
K「ベルリン来たら、カクテル作ってあげるよ。僕の部屋で。遊びにおいでよ。」
なつこ「ドイツ、行ったことないな。ベルリンもいつか行ってみたいな。
Kと会えたから、次の旅でベルリン行くきっかけができたね。
こんど、9月にロンドン行く予定あるし、ついでに寄ろうかな。」
と言いつつ私の心の中は、
外科医で、カクテル作るの好き、とかチャラそうなやつだな。よく女の子ひっかけてんのかな。
まだまだ警戒モード。
Kはバルセロナに旅行に来るのは、3回目だという。1度目は家族で。2度目は彼女と。
今回は、ひとりで。
よほど、バルセロナが好きなんだな。今回は10日間ずっとバルセロナで太陽の日差しを楽しんでいるらしい。
日本人は、なかなかこんな旅の楽しみ方しない。というか、できない。たいてい日本人は、バルセロナに3日間くらい滞在して、時間を惜しんでサグラダファミリアやグエル公園、カサ・バトリョなどの観光地を巡って、別の都市へ移動してしまうだろう。日本からスペインは遠いし。まず、休みが取れないし。
興味深いので、聞いてみる。
なつこ「10日間ずっとバルセロナって。毎日何をして過ごしてるの?」
K「レンタサイクルを借りてて、街をめぐったり、ビーチで飲んだり。ホテルのルーフトップバーでのんびりしたり。こっちに友達もいるんだ。たまに友達に車で観光地連れて行ってもらったり。」
太陽を楽しむ、ってそういうことなのね。のーんびりした旅、ちょっとあこがれる。
K「おれ、あと一週間バルセロナにいるから滞在中一緒に何かして遊ぼうよ。」
なつこ「いいね!」
友達ができた。と思っていいのか、それともこれは社交辞令か?分からん。Kは社交的な人。店員やほかの客とも親しげに話している。
K「なつこはいつまでバルセロナにいるの?」
なつこ「まだ、決めてない。でも最低一週間は滞在するかな。いま一ヶ月くらい旅をしていて。南仏をまわって、バルセロナに入ったの。スペイン語話す練習もしたいし。」
K「決めてないんだね!日本人って事前に計画を立てるイメージだから、意外。っていうかスペイン語話せるんだね。いいね。」
なつこ「旅の前半は、宿とか電車予約してたけどね。今回は長い旅だから。こうやって全て事前に決めないで旅するのは、わたし初めてなんだ。」
旅の前半で、予定をきっちり決めすぎて失敗した。5人目:フィレンツェで出会ったA を思い出す。この旅のなかで、唯一ときめきを感じた出会いだった。
また会いたかったが、私が旅程を事前に決めすぎていたせいで、チャンスを逃してしまった。その失敗以降、宿・電車を当日におさえる柔軟なスタイルに変えたが、Aのあとはときめく出会いはなかった。
そもそも旅の出会いでは、ときめきを求めてない。求めているのは、友人や友情。さて、今日の出会いはこのあとどうなるかな?
Kと二杯目を飲み終えて、私たちは二軒目へ移動することにした。