なつこの旅にっき

旅&酒が好きな30代女、なつこ。25か国の渡航経験あり。自由気ままな旅先での出会いの記録を綴る。食べて飲んで、自分の足で歩いた備忘録。ツイッター:https://twitter.com/natsuko3tabi

7人目:ヴェネツィアでほろ酔い

ヴェネツィア水上バス、ヴァポレット乗船時に有効なチケットを持っていなかったことで、€50の罰金を取られた日曜の昼。

 

natsuko3tabi9.hatenablog.com

 

ダニに刺されて体中かゆい。いらいらしながら、16時すぎに駅でGと待ち合わせた。

 

G(36)

ナポリ出身

ミラノ在住

システム会社のプロジェクトマネージャー

スペインやロンドン、スイスで就労経験あり

 

Gは昨夜からメストレの友人宅に遊びに来ていて、今夜ミラノに戻るらしい。

その途中で、私と会ってみようとなったわけだ。

 

メストレの友人宅でのランチにも誘われたが、Gにまだ会ったことがないにも関わらずその友人・家族の集まりにいきなり行くのは勇気がいる。

なんで誘ってきたんだろう、謎すぎる。

イタリア人ってみんなこんなにフレンドリーなの?

 

G「なつこ、はじめまして!」

 

Gは、ひげもじゃ。寒いのでニット帽をかぶっていた。

冗談を言うのが好きで、人種ネタジョークなども恐れない。

昔アンダルシアにスペイン語留学に行っていたころ、語学学校で出会った日本人の友人が何人かいるらしい。

 

Gは今夜ミラノに帰る身のため、ヴェネツィアにいられるのは数時間。

一緒に軽く飲みに行くことにした。ローカルの食べ物や飲み物を教えて!と伝えると、

 

G「おれはナポリ出身だからヴェネツィアのローカルじゃないけど、来る前にヴェネツィア出身の友人におすすめのお店聞いておいたから行こう!」

 

頼もしい。と思ったのもつかの間、

グーグルマップを頼りに歩き始めるが、残念ながらGは方向オンチ。全然頼もしくない!

私は地図を見て歩くのは自信があるので、お店を教えてもらってようやく17時頃たどり着いた。

 

イタリア・ヴェネト州ヴェネツィアがあるところ)で生まれたアペリティーヴォという習慣に、欠かせないドリンクがアペロール スプリッツ

とGから教えてもらって、甘口と辛口両方試してみることに。飲みやすい。楽しくなってほろ酔いに。

 

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アペロールスピリッツとおつまみのオリーブ

 

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夕暮れ時の美しいヴェネツィアの広場

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ヴェネツィアといえば運河

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ヴェネツィアのビニエ(シュークリーム)美味しかった!

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中にはカスタードクリームが。

アペロールスピリッツを二杯飲んで街歩きをしながら、話した。

Gから勧められた、ヴェネツィアのシュークリームのようなお菓子、ビニエも美味しかった。

ヴェネツィアはロマンティックな街。デートや新婚旅行にぴったりである。歩いていてもカップルだらけ。

他愛のないことを話しながら、誰かと一緒に歩けるのが楽しかった。


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ヴェネツィアのカーニバルといえば、仮面。

 

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お土産屋さん

歩きながら、Gのふるさとのナポリのこと、今住んでるミラノのこと、Gの日本人の友達ユウコの話などをいろいろ聞いた。

Gはなんと、私の勤め先と一緒に協力しながら仕事をしているとのこと!

ありゃ、まあ!びっくりして一瞬固まってしまった。世間は狭い…。

 

Gが冗談いってばかりで、笑って楽しかった思い出だけ残ってる。

 

数時間話して街歩きを楽しんで、そろそろ電車乗らなきゃ。という時間になった。

私は数日あとにミラノへ行く予定があったので、Gと再会を誓った。

 

G「ミラノ来た時、おれの部屋に泊っていいよ。一緒にディナー行こう。」

 

なつこ「いや、もうホテルは押さえてるから大丈夫。ごはん一緒に行こうか。ミラノでまた会おうね!」

 

泊っていいと言われたって、今週は生理だしむり。もし生理じゃなくても、むり。

私、保守的な女なんです。

Gは方向オンチなので、駅まで一緒に歩いて送ってあげた。また数日後に会える友達ができたぞ。楽しみ。

 

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ヴェネチアングラスのお店

 

10人目:元・歌舞伎町のバーテンダーV

南仏のニース三日目。

今日は昼から、地元っ子のVと会うことに。

 

V(27)

スキンヘッド

日本に住んでいた経験あり。

出身地はニース。

 

午前11時に駅で待ち合わせた。この日はあいにくの雨。

 

V「街を案内するね!地元だから任せて。」

頼もしい。ニース滞在三日目なので、メインストリートや旧市街は一通りひとりで散策していた。

 

Vは以前、ワーホリで日本に一年間住んでいたらしい。

私は「日本が好き、大好き!」と言ってくる人に対して警戒してしまうが、住んだ経験がある人に対しては別。日本の悪いところも含めて現実を知っている人は、話をしていても面白い。

 

Vは荻窪のシェアハウスに住んで、歌舞伎町のバーテンダーとして働いていた、と。

日本のサービス業で働くことの大変さを経験からわかっている。

 

帰国後は、ニースのカジノで用心棒として働いていたが、それを辞めて来月から陸軍に入るらしい。体格が良いスキンヘッド。一見いかつい印象だけれど、話してみると親切な青年。

 

日本語レベルは、あまり高くない。私との会話は9割英語。たまに少し日本語を混ぜてくる。

 

はじめに連れて行ってもらったのは、サン・ニコラ・ロシア正教会。外観がとてもカラフル。

 

私は、ロシア教会に入るのは初めてだった。この日は日曜。中に入ると、ミサをやっていた。聖歌隊の歌のレベルが高い。ロシア系移民と思われる敬虔な信者たちの中、私は明らかにアジア人観光客。居心地の悪さを感じて、しばらくして出た。

 

Vによると、ニースには裕福なロシア系移民が多いとのこと。ロシア人から避寒の地として選ばれるのもよく分かる。

 

おなかがすいたので、旧市街へむかって歩く。

私の希望で、ニースらしいものを食べに行くことに。

 

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ニースらしい食べ物①

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これも、ニースらしい食べ物②

 

Vは日本に住んで就労経験もあるので、日本の良いところも悪いところも知っている。

 

歌舞伎町のバーで、はじめウエイターとして働き始めたが、注文を取ったり接客は難易度が高かったためカウンターの中に入ってカクテルを作っていたこと。Vは英語も話せるので、外国人客の対応を任されていたこと。英語が話せるスタッフが他にいなくて重宝されていたこと。店長が日本人スタッフに対しては厳しかったが、Vに対してはそこまでではなかったこと。仕事が忙しくて、滞在中は他の都市の観光へあまり行けなかったこと。もっと日本に滞在したかったが、ビザの関係で帰国せざるをえなかったこと。

 

日本で働く外国人といえば、多いのはJETプログラムやインタラックに所属する外国語教師。

歌舞伎町のバーで働く、となると外国語教師とはまた見える景色が全然違うだろうな。

大都市東京の繁華街、夜の世界。日本の中でもかなり特殊な世界であることは間違いない。

 

レストランでVは、パスティスという酒を頼んだ。

40~45%のアルコール度数の高い酒で、水を加えて飲む。

琥珀色だが、水をいれると白濁するというのが面白い。

少し分けてもらったが、柑橘系とハーブが入った薬のような味で、クセになる味だった。私の好み!! たとえるなら、薬用養命酒みたいな?

旅の思い出として、ニースで一本購入すればよかった、と今でも後悔している。

 

あとから調べてみると、パスティスは元々、ニガヨモギを加えて作る香草系リキュールアブサンの代替品として生み出されたようだ。

アブサンが、健康上の問題から1915年フランスで禁止された後、アブサンに似た風味をもって生まれた。アブサンに“似せて(se pastiser=ス・パスティゼ)つくる”という意味でパスティスと呼ばれるようになったのだそう。

 

アブサンといえば、画家のゴッホが魅せられ、取り憑かれ、身を滅ぼしたと言われている。

私の大好きな、びじゅチューン* の「アルルの訳アリ物件」という曲の歌詞に「アブサン」が出てきたとき、気になって調べた。

 

びじゅチューン* とは、

世界の美術をユニークな歌とアニメーションで紹介する番組。毎回5分間の番組の中で、著名な美術作品をテーマにした1分半前後のオリジナルソングを放映している。

このオリジナルソングは、作詞・作曲・歌・アニメーションの全てを映像作家の井上涼が制作している。(Wikipediaより抜粋)

ーーー

パスティスに話を戻すと、パスティスはペタンク(鉄のボールを転がして遊ぶプロヴァンスの怠惰なゲーム、年配の男性がやる)というゲームに欠かせないらしい。男の酒、というわけだ。

 

もともとアブサンに興味があった私は、Vから南仏のパスティスやペタンクの話を聞けたのはとても面白かった。

 

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ジェラートも食べてしまった。

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高台から見下ろすニースの街並みと浜辺

 

昼食の後、ジェラート片手に海岸で話したり、Vが働いていたカジノに連れて行ってもらったり、ニースの街並みを一望できる場所へ連れて行ってもらったり、観光を楽しんだ。

 

夕方、別れ際にVがトラムの10回券をくれた。

 

V「これ、あげる!ニースを楽しんでね、本当に会えてよかった。また会おう。」

 

本当にやさしくて、最後までおもてなし精神にあふれた青年だった。

まだトラムのチケットは5回残っている。また、いつか近いうちにニースに行かなくては!

 

 

13人目:ひとり旅仲間K ⑥さよならディナー

水曜の夕方、Kと解散した後

 

私は、諸事情により急遽予定より早めの帰国を決め、金曜の朝バルセロナをはなれることにした。

 

楽しかったバルセロナもあと一日か。

とっても楽しいから、帰りたくない。あと一週間くらいいても良いかも。

Kが移住したいというのも分かる。魅力的な街だ。


 

帰国を決めた直後に、すでに後悔していた。Kにメッセージを送る。

(急だけど、金曜の朝に日本に帰国することにした。だから明日が会えるの最後だね。)

 

初対面の時は、Kのことを夜遊び好きなとんでもない飲んだくれ男だと思っていたけれど、その後何度も一緒に遊びに行く 友人になるとは。

 

 

木曜は、バルセロナの街で過ごす実質最後の一日。

早起きして、グエル公園カサ・バトリョ、グエル邸、カテドラル、ブケリア市場、マンゴーで服を買って、観光客らしく楽しんだ。

 

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グエル公園のトカゲちゃん

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カサ・バトリョ内部からの写真

カサ・バトリョのチケットは、入場ゲート前でオンライン購入を試みたが、なぜかクレジットカードが受け付けられなかった。スタッフに説明すると、オンライン価格で窓口購入することができた。

 

ん?でもこれって、オンライン購入より安いぞ。おかしい。

 

と思ったら、なぜか学割になってた(笑) 

窓口のお兄さんが勝手に学割にしていた模様。

でも窓口のお兄さん、私に何も聞いてない…。いい加減だな。

学生ですか、って聞かれていたら当然「NO」って伝えている。学生証持ってないし。

 

アジア人は若く見られますからね…。まあ、ラッキーとするか。

 

普段日本で仕事をしていると、童顔で実年齢よりも下に見られることはとても不利だと感じる。

 

後輩と同席して打ち合わせに出ていても、お客さんと会っても、私のほうが職位が下で決定権を持っていない、とみられることが多いため。

 

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カサ・バトリョ外観

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ボケリア市場でフルーツ€1.5

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贅を尽くしたグエル邸の屋上。煙突が実用的&かわいいガウディ建築。

カサ・バトリョやグエル邸のミュージアムショップはセンスのいい小物が多くて

たくさん買ってしまった。

ノート、メガネケース、ポーチ、マグネット。

 

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グエル邸の門

 

19:30ちょうどに、Kとピカソ美術館で待ち合わせた。


Kは、いつもTシャツにジーンズといったカジュアルな装いだが、今夜はシャツにジャケットでパリッとしていた。美術館だからかな。

 

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ピカソ美術館

4日間会って、だんだん彼の人柄が分かってきた。

 

人と一緒にいるときも気にせず友人や家族からの電話に出て話しこむこと、 

Kが多く飲んでも必ず割り勘にすること、

自分の写真をかっこよく撮ってくれ、と何十枚も私に写真を撮らせること、

私は少しつかれてきていた…。

 

自転車の後ろに乗せてくれたこと、ゆったりとした旅の楽しみ方を教えてくれた

のは感謝しているけれども。

 

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ベラスケスのラス・メニーナスに関連したピカソ作品が見ごたえがあった。

Kはピカソのこともよく知らないようだった。

出身地のマラガのこと、ラス・メニーナス作品群のこと、青の時代の作品のこと。

私の知っている限り、解説してあげた。

 

美術館のあと、La Bombetaというレストランにディナーに連れて行ってくれた。

先週、Kが友人と一緒に来てとても気に入ったらしい。

確かにどれも美味しかった!

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La Bombeta の美味しかった料理


 

ムール貝蒸しのトマトソースで味付けしたもの

アーティチョークの揚げ物

デザートのクレマ・カタラナ

 

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クレマ・カタラナ

 何種類も料理を頼んだけれど、

一口大に切ったじゃがいもを素揚げし、マヨネーズやトマトケチャップ、カイエンヌペッパーなどのスパイスなどをまぜた「ブラバソース」をかけた「ブラバス」が私のお気に入りだった。

 

K「なつこって、Eat Pray Drink の主人公みたいだよね。」

 

なつこ「なにそれ?」

 

K「女性がひとり旅するアメリカ映画、知らない?アメリカ人女性が夫と離婚して、自分探しの旅に出るの。バルセロナ行って食べて、インドで瞑想して、そのあとアジアのどこかの国行って何かする話。」

 

なつこ「ああ、ジュリア・ロバーツ主演の Eat Pray Love ね。ちなみに彼女の旅先はイタリア、インド、バリだから。っていうか、わたし離婚どころか未婚なんですけど。

Eat Pray Drinkって(笑) なんやねん、それ。」

 

笑った。Kのこういうところ面白くて好き。わざとでしょ。

 

邦題:食べて、祈って、恋をして

 

恵まれた主人公に都合がいいことづくしの、ツッコミどころ満載の旅映画だ。

(あくまで私の主観です。人によって好き嫌いが分かれそう。)

もとは実体験を小説にしたものがベストセラーになって映画化されたらしい。

 

ビデオオンデマンドで二回ほど見たことがある。

お気に入りではないが、二回も見たのは今回私の旅はローマから始まったから。気分を高めるために出国直前に観ていた。旅先を魅力的に描いているという点では、観る価値がある。

 

私の今回の旅には祈りも恋愛もなかったけれど、真似して名付けるなら Eat Drink Sunshine って感じかな。と、ふと考えてみる。

 

地中海沿い南欧諸国の美味しいもの好きに食べて、いろんな人と飲みに行って、

太陽を楽しんだもの。あー、楽しかったな。

 

この記録を書いてのちに書籍化されてベストセラーになって、映画化されないかしら。

イタリア・フランス・スペインで、いろんな男と飲んで。殿方はどうにかしてワンナイトスタンド狙ってくるんだけれど、それをやんわりとかわす、鉄のパンツをはいた女の話。需要あるかな?

 

なーんて、あほなことを考えてみる。

 

なつこ「このあと友達と会うんでしょ。時間は大丈夫?」

 

K「全然気にしなくて大丈夫。夜中からでも合流するよ。」

 

なつこ「いろいろ、ありがとうね。特に自転車の後ろのせて街を走り回ったのは楽しかった。私、足短いからレンタサイクルはこわくてできないし。ひとりじゃできない経験だったよ。」

 

K「そうだよね、なつこは足短いよね。(笑)」

 

Kらしい返し。

 

お会計(もちろんきっちり割り勘)して店を出て、タクシーに乗り込む。

 

K「気をつけて帰国してね。またね。」

 

なつこ「ありがとう。また、世界のどこかで会おう。」

 

タクシー車内で、ハグしてお別れ。Kは先におりて友達のもとへと向かった。

 

ホテルのルーフトップバーをはしごして一緒に飲んだのもいい思い出だな。結局、今週土曜の午後にカタルーニャ美術館には一緒に行けなかったな。

 

なんて考えながら、タクシーはホテルに着いた。

旅の出会いに感謝。バルセロナはまた来たいな。

 

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ピカソ美術館でぱしゃり

 

13人目:ひとり旅仲間K ⑤太陽の楽しみ方

この記事は①~⑥まである中の⑤です。ぜひ続きでお読みください。

 

ひとつ前の④はこちら。

 

natsuko3tabi9.hatenablog.com

 

 

モンジュイック城からの眺めを楽しんだ後、ケーブルカーでまた下におり、Kの自転車の後ろに乗せてもらってカタルーニャ美術館の前に来た。

 

自転車の後ろに乗せてもらうのって、初めはこわかったけれど慣れるととっても楽しい!気持ちいい風を受けながら、街をかけぬける。

 

小腹がすいたのでカフェでコーヒーとクロワッサンを買って、石段に座って食べる。

今日もいい天気だ。しあわせ。

 

K「この建物なんだろう」

 

なつこ「カタルーニャ美術館だよ。普段は入場料かかるけれど、毎週土曜の15-18時は無料開放してる。じつは先週土曜に行きたかったけど、ジローナからバルセロナへ行く電車がなんらかのトラブルでかなり遅れて、結局行けなかった。」

 

K「その電車、遅らせたのはおれだよ!」

 

なつこ「?どういう意味?」

 

K「なつこに先週ひとりでカタルーニャ美術館行かせたくなかったから、わざと電車止めたの。今週土曜、一緒に行こう。」

 

なつこ「はは、そういうことね!Kのせいだったのか、ほんと迷惑な奴。ほかの乗客に謝れ。」

 

はは、と笑う。

 

なつこ「無料で楽しめるバルセロナといえば、そういや目の前にあるあの噴水。

マジカ噴水は毎週金曜と土曜の夜に一時間光と音の噴水ショーやってるんだよ。先週土曜の夜行ってきた。綺麗だった。」

 

K「なんでそんなによく知ってるの?」

 

なつこ「ほかの旅人のブログを読んでお得な情報は調べてきたんだ。あ、明日は木曜だけど木曜の18時以降はピカソ美術館お無料開放してるんだよ。行く前にオンライン予約が必要だけど。」

 

K「木曜って、明日だね。一緒に行こう。」

 

なつこ「わかった、じゃあ今オンライン予約取るわ。」

 

明日の19:30に二人、予約が取れた。

なんだか毎日Kに会っている気がする。平日の昼間も一緒に遊べる、って旅人どうしだからできることだよね。

 

そのあと、また自転車の後ろに乗せてもらって

La Isabela Hotel 1898 の上のルーフトップバーへ行く。

 

昼間から飲むビールが最高!

ここも街の景色がよく見える。向こうには、サグラダファミリアが。

 

プールサイドで寝そべって、ビール飲んで太陽を楽しんだ。

スタッフがサービスで持ってきてくれたオリーブが、とっても大きくて美味しかった。

今までで食べたオリーブの中で一番!だった。写真撮っておけばよかった。

 

Kが言っていた、太陽を楽しむってこういうことなのね。

あくせく観光するではなく、ホテルのルーフトップバーでゆったり日差しを浴びながら昼から飲んで。最高だな。

 

ひとりでも楽しいけれど、旅仲間と一緒に飲んで昼間からのんびりするの最高!

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ホテル1898のルーフトップバーにて。

 

 そのあと、また少し移動してカタルーニャ広場に面している

ホテルIberostarのルーフトップバーでサングリアを飲む。

 

私は1898のルーフトップバーで既に4杯くらい飲んで酔ってたので、全然サングリア飲めなかった…。勿体ない。

 

それでもきっちりお会計を半分にしてくるあたり、Kはけちだな、ひどい。と思いながら。

 

Kは、シエスタしてから夜はまた友達と飲みに行くらしい。

どんだけ飲むんやねん!とツッコみたくなる。

 

K「また、明日ね。ピカソ美術館で。」

 

なつこ「また明日!」

 

18時に解散。太陽を十分に楽しんだ一日だった。

 (⑥に続く)

 

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13人目:ひとり旅仲間K ④マルチリンガル

この記事は①~⑥まである中の④です。ぜひ続きでお読みください。

 

ひとつ前の③はこちら。

 

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Kと朝9時に待ち合わせの予定だった。

 

しかし8:30になって、Kから連絡が

 

K「眠い、、やっぱり10時に会おう。」

 

その一時間あとに、

 

K「まだ眠い、、やっぱり11時に会おう。」

 

結局会ったのは12時でした。マイペースだな、おい。

 

ケーブルカーでモンジュイック城へ向かう。

眺めが素晴らしかった。

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ケーブルカーからの眺め

ケーブルカー、は英語。

日本語ではこれをゴンドラと呼ぶが、

それは通じない。

 

はじめ、ケーブルカーという単語が出てこなくて

ゴンドラと呼んでいたら

Kが「?なにそれ?」

と言うので、

 

なつこ「日本では、ケーブルカーのことをゴンドラと呼ぶの!」

 

K「日本語一つ覚えた。ゴンドラね!」

 

モンジュイック城まで到着すると、Kは友人から電話がかかってきてしばらく話していた。

 

私には、その言語が何語が分からなかった。ドイツ語ではない。Kが電話を終えた後、

 

なつこ「さっき何語で話してたの?」

 

K「ペルシア語だよ。」

 

道理でわからないわけだ。聞き慣れない言語。

 

なつこ「Kは何か国語話すの?」

 

K「5つかな。ペルシア語、トルコ語、英語、ドイツ語、ハンガリー語。」

 

なつこ「わ!マルチリンガルだね。ハンガリー語トルコ語はどこで習得したの?」

 

K「おれはイラン出身だけど、トルコとの国境沿いの町の出身だから。あ、ふるさとの町の名前は、おれの名字と同じね。まず、ペルシア語とトルコ語は小さいころから話してた。ハンガリー語は、医学の勉強してたのがハンガリーだから。6年間住んでたけど、日常会話程度しか話せない。ドイツはここ5年間住んでるから。」

 

興味をもってあとから調べてみると、ハンガリーEUの医師免許を取得する外国人は多い。医学自体は英語で学べるようだ。

 

Kのふるさとの町をグーグルマップで検索してみた。彼の名字と同じだ。トルコとの国境沿いの小さな町。

 

北米やEUに生活の拠点を移した、イラン人家族をいくつか知っている。より良い環境を求めて母国を離れて異国でずっと暮らしてきたのだろうか。苦労も多い人生であることがうかがえる。

 

Kは一歳年下の弟がいるが、彼も同じくベルリンで働く外科医だ。ふたりの息子を外科医に育てあげた両親はすごい。父親は貿易商、母親は専業主婦。

 

Kは一日一回は、お母さんと電話で話している。それって、マザコンすぎないか?31歳男子よ…。

 

なつこ「母国語ベルシア語の次に得意なのはどれ?」

 

K「日本語かな! ゴンドラ!!」

 

いたずらっぽく笑う。

 

こいつ。。ケーブルカーのことをゴンドラと呼んだ私をからかう。

 

K「二年後にバルセロナ移住したいから、これからスペイン語勉強するつもり。」

 

なつこ「スペイン語なら教えてあげるよ。」

 

お会計お願いします。トイレはどこですか。など、簡単な旅行で使える表現を教えた。中でもKが熱心に復唱していたフレーズは、

 

K「今夜、一緒にパーティに行きませんか?」

 

やっぱりKはパーティが好きなのね。

 

既に5か国語を話せるKは、6つ目となるスペイン語もきっと習得が早いだろう。うらやましい。私が英語、そのあとスペイン語を習得するのがどれだけ大変だったことか。

 

モンジュイック城からバルセロナの街並みと海を眺めながら、そんなことを考えていた。

 (⑤に続く)

 

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13人目:ひとり旅仲間K ③飲めない夜

 この記事は①~⑥まである中の③です。ぜひ続きでお読みください。

 

ひとつ前の②はこちら。 

natsuko3tabi9.hatenablog.com

 ①はこちら。

 

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Kと飲んだくれた翌朝、スマホを見るとKから写真が。

 

(忘れ物)

私の腕時計の写真が。

 

あ!わたし、Kの部屋に置いてきちゃったんだ。最悪…。取りに行かなければ。

 

だけど今日はバルセロナを離れてモンセラット行く予定だし、また明日でいいや。

と、連絡した。

 

モンセラットへ一泊二日で行ってきた。

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奇石で有名なモンセラット。絶景。

期待以上だった。モンセラットの絶景に、感動。

生まれて初めてトレッキングの楽しみを知った。

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絶景。トレッキングで登った高いところから。

二日間めいっぱいトレッキングを楽しんだ。

ここは、また訪れたい。

 

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モンセラット修道院の少年合唱団のコーラスも素晴らしかった。

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上から見たモンセラットの町

 

絶景!モンセラットの旅を楽しんで、翌日の夕方バルセロナに戻ってきた。

 

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パエリア

さて、腕時計を返してもらうべくKに連絡。

 

K「今夜は友達と会うから、明日でもいい?」

 

なつこ「分かった。」

 

というやりとりのあと、23時頃に

 

K「今夜でもいいよ、今から会う?」

 

なつこ「まず私のホテルの前まで迎えに来てくれるんなら、いいよ。」

 

深夜に来てもらった。

 

K「なつこの部屋行っていい?」

 

なつこ「だめ。」

 

それじゃ、せっかくだしどっか飲みに行くか。

としばらく街歩きするも、行こうと思っていたホテルのバーが閉まる時間帯で、どこにも入れず。フラれてばかり。

 

歩きながら、Kに街歩き案内をしてもらった。

 

このエリアは治安悪いから気をつけて、とか

このお店のパエリアが美味しかった!とか、

カテドラルきれいだった、おすすめ。とか。

 

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夜の散歩で見つけた謎の現代アート的なオブジェ

コンビニで酒を買おうとしたが、今の時間帯は酒を販売できない。と断られた。時刻は深夜12時過ぎくらい。

 

腕時計を取りにKのホテルへ行く。ここでは、ホテルのダイニングがあるフロアに、ビールの自動販売機を発見!コインを入れてボタンを押してみるが、ビールは出てこなかった。しかもコインも返ってこなかった。残念…。

 

K「今日は飲むな、ってお告げかな?」

 

なつこ「そうだね。ことごとくフラれてばかりだね。」

 

K「今夜、おれの部屋泊って行ってもいいよ。」

 

なつこ「いや、自分のホテル帰る。ホテルまで送って。」

 

やっと腕時計が戻ってきた。

 

K「明日、一緒にモンジュイックの丘行こう。先週友達に車で連れて行ってもらったけど、眺めがいいんだよ。おれ、自転車借りてるから、後ろにのせてあげるよ。」

 

なんだ、一緒に何かして遊ぼうというのは社交辞令ではなかったのね。

 

明日朝9時に朝食を Brummel kitchen という店で食べよう、と約束して私のホテルまで送ってもらった。自転車の後ろに乗せてもらった。

 

少し怖かったけれど、乗ってみると意外に安定していた。前回Kと一緒に乗った(3輪自転車をこいで客を運ぶ)ヴェロタクシーのようなどきどき感と爽快感があった。

 

明日のことを考えて、ワクワクしていた。

 

 (④へ続く) 

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13人目:ひとり旅仲間K ②飲んだくれる夜

 この記事は①~⑥まである中の②です。ぜひ続きでお読みください。

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Pradisoを出て歩き出す。

 

K「昨夜、パーティでさ。朝4時までこの辺で飲んでたんだ。」

 

(Kはパーティとか好きな男なのね。)

 

なつこ「夜遊び好きなんだね。」

 

K「はは、バケーションだからね。今日は昼過ぎまでホテルで寝てた。」

 

二軒目は近くにあるバーへ行った。

中に入ると、暗くてうるさい感じのところだった。一軒目とは違う。

夜遊びしてる人がたくさんいる。

今日は日曜の夜だぞ…。さすが大都会バルセロナ

 

K「ここは音楽がいい。」

 

混みあってて、ふたり座れる席がない。

客の一人と目が合った。

 

けばい感じのお姉さん、40代くらいか。中南米っぽい雰囲気を感じる。

 

お姉さん「ここ座って!」

 

なつこ「ありがとう。」

 

Kはとりあえず私を座らせた。Kは立ったまま、お姉さんと三人で話し始める。

お姉さんは、コロンビアからバルセロナに働きに来て二年になるらしい。

レストランで働いているみたい。

 

Kはお姉さんに、このあたりでおススメのバーを聞いてはスマホでメモを取ってる。

 

三人でいろいろ話したような気がするが、ごはんも食べずに飲んでいて

私は酔ってきていた。

 

Kは周りの色々な客とも話していて、社交的な感じ。

私は二軒目ではあまりKと話さなかった。

これ、一緒に来る意味あるか?

 

しばらくいて、Kに次行こうかと誘われて

三軒目に。

 

またもや音楽がうるさい感じのバー。

少し飲んで、お互いに酔っていた。

 

Kって、ただの夜遊び好きな男やん。と気づく。

このとき、すでに3時近かったと思う。

 

三軒目を出て、酔ったし帰るか。ということで、

人力車ならぬ、3輪自転車をこいで客を運ぶヴェロタクシーにのって帰った。

 

見慣れない乗り物にのって、夜のバルセロナを駆け抜けるのは刺激的だった。

冷たい風が心地よく、運転手があまりに早くこぐので

人や物にぶつからないか不安でドキドキした。

 

降りて、Kについてふらふらと。気が付くと彼の部屋だった。

疲れたので、とりあえずベッドに座る。

 

やばい。

これはまずい。酔わせて部屋に連れてくって、Kの戦略通りか。

ついてきた私もわるい。

 

とりあえず、トイレ借りる。そして我に返る。

 

広いバスルーム。バスタブもある。

私のホテルより安いのに、広くてバスタブもあるなんてうらやましい。立地の問題か。

わたし、こんな時にも冷静だ。

 

出たら、Kは疲れてベッドに横になってた。

 

なつこ「遅いからもう、帰るね。では!」

 

K「ひとりで帰れる?」

 

なつこ「うん、大丈夫。」

 

K「心配だからホテルついたら、テキストしてね。」

 

なつこ「分かった。おやすみ~。」

 

時刻を見ると、4時を回っていた。

それでも、バスは動いていた。すごいわ、バルセロナ

私のホテルまで1kmほど。バスに乗って帰った。

 

夜遊びしちゃったな~。

 

ホテルに着いた。

スタッフに入り口を開けてもらって、預けていた部屋のカギを受け取った。

 

昨夜も別の人と飲んでて、ホテル着いたの2時過ぎだったろうか。

ホテルのスタッフ(というか多分オーナー)に、

このアジア人女性はとんだ飲んだくれだな。と思われてるに違いない。

 

ふとKの言葉を思い出す。私が(夜遊び好きなんだね)と言った時、

K「はは、バケーションだからね。今日は昼過ぎまでホテルで寝てた。」

 

なあんだ、私も似たようなもんじゃん。

 

(③へ続く)

 

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